昨今賑わせているニュースの一つにFC2の動画配信サービスで局部を露出したとして多くの配信者(主に女性)が逮捕された事件。
なぜ、無修正は違法なのでしょうか?
違法としなければならない理由がさっぱり理解できない私はモザイク処理の歴史を調べてみることにしたのです。
書籍や資料など10本以上読み漁った結果見えてきたのは「わいせつ」なんてものを取り締まっている日本はちょっとおかしいんじゃない?ということです。
目次
猛烈な危機感を感じるFC2ライブで無修正配信していたYouTuberの逮捕
すでにネット界で大きく話題となっているためご存知の方も多い以下の事件。
参考文献 わいせつ行為生中継した疑い ユーチューバーの女を逮捕 朝日新聞
色々な噂が取り沙汰されている状況ではあるものの、概ね事実であると考えて良いのは以下の点です。
- YouTuberの女性がFC2ライブで無修正配信を行っていた
- FC2ライブは配信者が1分あたりいくらと設定できる
- 逮捕されたYouTuberは1分あたり39~600円を設定していた
- 今回の検挙は北は北海道、南は長崎まで全国一斉検挙であった
- 2015年FC2摘発に失敗した警察の意趣返しだとの論調も
果たして「公然わいせつ罪」には一般人女性の人権を踏みにじるほどの意味があるのか
逮捕された女性はYouTuberとして活動している一般人でした。
今でも見ることができるそのチャンネルは30万人を超える登録者数、YouTube公式マークまで付いた中堅〜大御所と言えるYouTuberです。
そんな普通の28歳の女性が違法である無修正動画配信に手を染めてしまった格好です。
ここで、率直な疑問が浮かんできます。
見たい人が見せたい人の配信を見ていただけの今回の事件、一体どこに問題があったのでしょうか?
「公然わいせつ」とは言うものの、自ら見たいと思っていた人に見せていたのだからそれは公園で全裸になった元SMAPの草なぎ剛さんとは訳が違います。
1人の一般人女性(YouTuberだけど)が逮捕されてしまうほどにまずい事をしたはずなのに、どうもその「まずい事」が一体なんなのか全く得体が知れないのです。
逮捕されれば非公表としていた氏名は公表され、勾留されて取り調べもされ、世間からは「無修正配信者」のレッテルをはられることになります。
それだけの事をやった警察にはそれだけの守りたいなにかがあったに違いないのです。
FC2への意趣返しというプライドか、はたまたお金の流れの解明か
一説には2015年の検挙でFC2をつぶすことに失敗した警察の意趣返しという話もあります。
参考文献 元AV女優の名も……FC2わいせつ動画配信者「全国一斉検挙」の裏側 excite!ニュース
それに巻き込まれた女性に同情はしても、犯罪者としてのレッテルを張る気にはなれないのは私だけなのでしょうか。
また、別の噂ではFC2配信は暴力団など反社会勢力の資金源となっている可能性があり、お金の流れを解明するために摘発したという話もあります。 2019/7/12付のテレビ朝日のニュースによると無修正配信の仲介役とされる自営業の男性と男女(夫婦)の3人を逮捕したと報道しています。 このうち件のYouTuberの仲介役とされた自営業の男性はおよそ10人の女性を雇って配信者として出演させる事業を営んでいたのではないかと考えられます。
依然として「わいせつ」でさえ無ければ問題なかったただの商売であり、一体誰が被害者だったのかは未だに見えてきていません。
私が最も気持ち悪いと思うのは、「警察」のような強大な権力が頭ごなしに「1人の人間の」「自由」を奪う事が許されるだけの意味が今回の逮捕には見いだせない所です。
さらに言えば「治安維持目的化」「インターネット規制」「表現の自由の侵害」「女性差別」にも通じる気持ち悪さを感じているのです。
いや、きっと「公然わいせつ罪」には罰するだけの意味があるに違いありません。
こんな問題意識から考察を始めた「日本ではなぜ無修正が違法なのか」、とても奥深く簡単では無い深淵な世界が広がっていました。
ホーク
個別の事件、特に盗撮とリベンジポルノについては警察GJ!と思っています。
違法なものは違法だと言われればそれまでです。
しかし、私が特に問題にしたいのは「わいせつ」に関する法律は一体私達の何を守ってくれているのか?がわからないという点です。
では、なぜ日本では無修正が違法なのか・・・?
残念ながら日本で無修正が違法な理由についてネット上には正しい知識がまとめられていません。男性側からの「無修正が見たいのになぜ違法なんだ!!おかしい!!」といった意見は散見されるのですが・・・笑
無修正は違法だからダメというのはみなさんご存知のことだと思います。しかし厳密には、無修正=違法とは言えません。
無修正とは局部を露出した映像のこと
無修正映像とは ポルノグラフィのことを指しています。
英語で「censored(検閲された)」と呼ぶ日本のモザイク入りポルノグラフィですが、モザイクが無く局部を露出しているものを「無修正」映像と言います。
違法とされるのはどういった行為なのか
無修正映像に関連した犯罪は 刑法の第2編第22章に「わいせつ、強制性交等及び重婚の罪」として規定されています。
この「わいせつ表現罪」は大きくわけて、 刑法174条 公然わいせつ罪と 刑法175条 わいせつ物頒布(はんぷ)等の罪に分類されます。
- リアルタイムな無修正配信(ライブチャット等)は 公然わいせつ罪に問われる
- 無修正映像の公開(不特定多数が認識できる状態にすること)はわいせつ物陳列罪に問われる
- 無修正映像の流通はわいせつ物頒布罪に問われる
- 無修正映像の販売目的での所持はわいせつ物販売目的所持罪に問われる
このように、無修正映像の「配信・公開・流通・販売目的での所持」が違法とされています。
また、平成23年に改正されて以下の行為も違法とされるようになりました。
- 無修正で国内から海外サーバー経由で国内視聴者に配信する行為
- 無修正動画を国内から海外のサーバーへアップロードを行い国内に流通させる行為
すでに海外のサーバーだから大丈夫だというのは過去の話、FC2で国内からアップロードした無修正動画を販売する、国内から無修正配信をする行為は違法となります。
一方で無修正動画を視聴したり、個人利用のためにダウンロードしただけなら犯罪ではありません。
(もちろん、児童ポルノは除く)
違反すると最高で2年以下の懲役などとされる
刑法174条 公然わいせつ罪に違反した場合は「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」
刑法175条 わいせつ物頒布等の罪に違反した場合は「2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する」
となっており、公然わいせつ罪のほうが軽い刑とされています。
無修正はわいせつなのか?
わいせつ物頒布等の罪における「わいせつ」は以下の3要件を満たすものとされています。
わいせつの三要件
- 徒に性欲を刺激・興奮させること
- 通常人の正常な性的羞恥心を害すること
- 善良な性的道義観念に反すること
1957年のチャタレー事件で示されたこの要件は日活ロマンポルノ事件、愛のコリーダ事件、さらには2019年現在に至るまで維持されています。
核となるのは「性器・性行為非公然性の原則」で、性器が無修正で映っているか本番行為が映っているかが問題になります。
しかし、世の中には性器を露出した芸術作品がありますし、医療従事者向けの書籍には性器や性行為が公然と掲載されています。「本番行為がある、無修正な部分があるからと言ってわいせつであるとは限らない」のです。
現に「ろくでなし子事件」では女性器をかたどったオブジェの展示について「芸術性があるからわいせつ物陳列罪ではない」とし2017年に無罪判決が確定しています。ただし、高裁で有罪となった性器をかたどった3Dデータの頒布については最高裁にて2020年7月に罰金が確定しました。
参考文献 「デコまん」はなぜ無罪?ろくでなし子裁判で争われた“わいせつのK点超え” logmi
参考文献 ろくでなし子被告、罰金確定へ=女性器3Dデータ―最高裁 | 時事通信ニュース
無修正映画が存在する!?
実はあの有名な映画「ファイトクラブ」(Wikipedia、サブリミナルの項目へ)のBlu-ray版(2014/3/5発売)にはDVD版(2003/8/29発売)では修正されていた「無修正の勃起したペニス」がドアップで数コマ収録されています。
作品そのもののテーマでもある社会に縛られ自らを抑制する「僕」と男性性を解放し自由に生きる姿の「タイラー」のうち、「タイラー」そのものを象徴する様なラストシーン。
作中で「タイラー」はこの数コマを家族が見るアニメにわざと挿入し映画館で流すといういたずらをしており、子供は泣き親は顔を背ける様な描写も。今で言えば「チン凸」をやっていたわけで、完全に3要件に当てはまるアウトな事例です。
日本の「わいせつ」概念に対して風刺的で爽快感を覚えられる作品なので、ぜひ一度ご覧になってみてくださいね。(2022/09/23追記)
四畳半襖の下張事件で示された「わいせつ」判断基準
では、「わいせつ」とされるのはどういう場合なのでしょうか?
1980年11月28日最高裁は文書のわいせつ性の判断基準は以下の諸点を総合的に検討すべきであるとしました。
- 当該文書の性に関する露骨で詳細な表現の程度とその手法
- その表現が文書全体に占める比重
- 文書に表現された思想等とその表現との関連性
- 文書の構成や展開
- 芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度
- 主として読者の好色的興味に訴えるものと認められるか否か
参考文献 エロスと「わいせつ」のあいだ 表現と規制の戦後攻防史 園田 寿 / 臺 宏士
本番行為が確認されたり無修正であったりしても「作品全体として思想性や芸術性が高く性的刺激を十分に緩和している」と認められた場合にはわいせつではないということになります。
梅崎氏はこのような「原則と例外」を適用しようとするチャタレー体制下のわいせつ性判断は女性器=わいせつと短絡的に紐付ける事を良しとしない「フェミニズム思想」が出てきた昨今陳腐化しているとし、「性信号の有無」によってわいせつ性は判断されるべきだと唱えています。
参考文献 チャタレー体制下のわいせつ概念とその陳腐化 ― ろくでなし子事件を素材として ー 梅崎進哉
その表現物が「エロい」と普通人が感じるものなのかどうかをわいせつ性の判断材料にすべきだということです。
ホーク
個人的に感じるのは裁判官が果たしてエロい、芸術性が高い、思想性が高いなどということを決めることができるのだろうか?という疑問です。曖昧でよくわからない「普通人」が「エロい」と感じてはいけないから気をつけようと考える表現者に対する抑圧と、抑圧された表現物しか見る事ができない私達一般消費者の不利益があまりにも大きすぎると感じます。
三要件やわいせつ性の判断基準は「その時代の健全な社会通念に照らして判断される」という点も重要なポイントです。
現にセーフサーチをOFFにした状態で「まんこ」とGoogle画像検索をすると大量の無修正で”エロい”性器の画像が表示される状況にあります。
無修正の画像や動画があふれるインターネット社会となった昨今、あなたの考える「わいせつ」とは一体どんなものでしょうか?
性器・性行為非公然性の原則が日本にもたらされた契機
無修正の性器、性行為の表現に対して罪悪感を感じるべきであるとするのはプロテスタントを起源とした思想だと言われています。
その思想が日本にもたらされたのは明治時代、西欧文明に追いつこうと近代化政策に必死になっていた当時の権力者達は日本の乱れた風俗文化を駆逐し浄化するために強力な検閲制度を敷いたのでした。
明治13年(1880年)の旧刑法典から「わいせつ図画」を取り締まる刑法は存在しており、それがそのまま明治40年(1907年)制定の現行刑法典に引き継がれています。検閲制度は戦後廃止されたものの「わいせつ」を取り締まる法律のみが取り残されてしまった格好です。
現在では、諸外国を見ると特にイスラム教国において宗教的背景から日本よりも強い規制がある一方で、 アメリカなど「表現の自由」を重視しポルノ規制を違憲だとする国もあります。
日本が「近代文明」のお手本とした国に”合法的”に置かれたサーバー経由で配信した女性が日本の「公然わいせつ罪」で逮捕されるという事態には、もはや失笑を禁じ得ません。
この延長線上で、アメリカでは「えっちな表現の規制」を求める声が、宗教団体や婦人団体などによって高まっていった。
アメリカでは、1800年代に表現規制のルールが次々とできていった。
一方、1960年代になると、「表現の自由」を重視するアメリカでは、性表現規制を見直す動きも本格化してきた。
そもそも『性的な表現はダメ』という規制に、どんな根拠があるのか。性的な表現に何か害悪はあるのか……。
これに対する、アメリカ連邦議会の答えが、1970年の「猥褻とポルノに関する大統領諮問委員会報告書」だ。この報告書の結論は、「大人が見たいと思って見る分には無害」というものだった。
なぜ「えっちなの」は、いけないの? | BuzzFeed News
アメリカでの表現規制の歴史についてはこちらの記事が参考になります。
変わることができない日本、その縮図の様な状況がなんと「わいせつ」「無修正」問題で見られるとは思いもよらないのではないでしょうか。
刑法174条 公然わいせつ罪や刑法175条 わいせつ物頒布等の罪が守っているものとは
ここまで事実ベースで「わいせつ概念」について解説してきました。わいせつとは一体なんなのか、違法となる場合はどんな場合か理解していただけたでしょうか。
ここからは、これら法律が罰に値するほどの利益を私達に与えてくれているのか?について考えていきましょう。
前提:保護法益である社会的法益を知っておこう
刑法には 個人的法益、 社会的法益、 国家的法益という3つの「法益=その法律が保護する対象」が規定されています。
個人的法益には例えば殺人罪のような個人の生命を保護する法律が当てはまります。一方で公然わいせつ罪やわいせつ物頒布の罪は社会的法益を持つ法律です。
社会的法益は結局は個人のためになるが個人的法益とするのが適切でない法律に適用されています。動物虐待の禁止やスピード違反のように特定の個人を被害者とすることが難しい、または、個人的法益にすると十分な効果が得られない法律を構成するのが社会的法益です。
売春防止法や風営法とならびわいせつ罪についても社会的法益を守るための法律の1つです。
一見わいせつ物を頒布することを罰する意味が無いように思えますが、それは被害者が必ず居て加害者を罰するために作られた法律ではないからです。「わいせつ3要件」にあるように、これらの法律は通常人の正常な性的羞恥心と善良な性的道義観念を守ることを目的としているのです。
参考文献 「法益」について 小林 憲太郎
原則としての法益は理解できたと思いますが、「これら法律が守っていること」については様々な意見が交わされており法学の観点からはふさわしくない内容も多く見られます。
性表現に関する議論はそれだけ配慮が必要とされることでもあるため、本稿では全ての意見をできるだけ網羅できるように取り上げてみます。
見たくない人に見せないこと、性的羞恥心の保護
「表現の自由」と対比し「表現からの自由」とも呼ばれる、見たくないモノを見ない権利を保護しているとする説があります。
公然わいせつ罪では公共の場で性器を露出したり、性行為を行うことが罰せられます。そうしたモノ・コトを見せられると嫌悪感を感じる(=性的羞恥心を害する)人が多く居るのは明らかですし、誰もが公然と露出するような社会は決して望ましいものではありません。
これら法律が性的羞恥心を害する行為から私達を保護してくれているというわけです。
性秩序・性道徳を守る、善良な性的道義観念の保護
性秩序・ 性道徳とは一体なんのことでしょうか?
- 性の商品化の防止・商業主義の否定
- 一夫一妻制の維持
- 性風俗の清潔の維持
- 青少年の保護
- 存在する事自体に不快感・嫌悪感を抱く、性感情の保護
- 性差別からの保護
- 性犯罪誘発防止
私はこうした問題を総称して「性秩序・性道徳」を守るという言葉になっていると考えています。
1.一夫一妻制の維持
最も大切な考え方の1つとして結婚制度の維持が挙げられます。
過激な性表現が婚外子や不倫といった結婚制度を脅かすような行為を助長するかもしれないという危機感が現れたものです。
2.性の商品化の防止・商業主義の否定
「お金を稼ぐために体を売る」といった「性の商品化」から社会を守るとする意見があります。
商業主義化するとより稼ぐために過激化・低価格化してしまいそれは「売る側」の人権を毀損してしまうのではないかという危惧が根底にあるのでしょう。
また、フェミニズムの文脈では根強く経済的な理由で(多くの場合女性が)体を売る事は社会構造によって強制的に体を売らされている事と同じことであるとする考え方があります。そのため、自由意志であったとしても性の商品化は防ぐべきであると主張されています。
行き過ぎた性の商品化は、(多くの場合女性の)身体や外見が性的な商品として価値があるかどうか(より権力・勢力の強い側である男性)消費者目線で値踏みする社会を招くという主張です。
3.性風俗の清潔の維持
社会が性的な表現に寛容になりすぎることを防止し、性風俗を清潔に維持するという目的があります。
「表現の規制」という文脈では語ることは多くあって長くなりすぎるので簡潔にいえば「テレビ」から「性的表現」が駆逐されたように、ここでは法律で「性的表現」を抑制しようという考え方があります。
また、公衆衛生にも関わることですが、性病蔓延から社会を守るために性行為を助長するようなわいせつ表現は規制されるべきとする意見があります。因果関係が存在するのかは別として、梅毒の蔓延やHIV感染者が日本でも存在することなどからこうした社会的課題に対応する必要があるという理屈ですね。
4.青少年の保護
青少年に有害な情報を見せたくない、見せるべきではないという観点から青少年を保護するために「わいせつ表現」を規制すべきだとする意見もあります。
青少年保護育成条例の成人向け雑誌の区分陳列(ゾーニング)規制などがありアダルトビデオや成人向け図書は18歳未満への販売が禁止されていますが、色々な方法で見ることができてしまうのが現実です。
規制がどうであれ結果的に「わいせつ表現」を青少年に見せてしまうのは良くないということです。
5.存在する事自体に不快感・嫌悪感を抱く、性感情の保護
「存在すること自体」に不快感や嫌悪感を抱く人々が多数居り、彼らの性感情を侵害することが問題だという説もあります。
例えばレイプモノのAVが存在することによって、それだけで一般女性は恐怖心を感じるからそんなものはあってはならないと考える・・・といった意見です。
エログロナンセンスと言われる通り、確かに「斬首映像」を実際に見せられるとかなりの恐怖心と嫌悪感を感じるものです。自分の身にそれが起こったら・・・そういう危険が現実に存在する状況でそうした表現物を見せられるとしたら・・・
性感情の保護とはこうした理論から成り立っています。
6.性差別からの保護
ポルノそのものが性差別であるとする意見もあり、女性の体を男性の楽しみのために利用するポルノは規制すべきという議論は常に渦巻いています。 ポルノによる過剰な女性の性的描写は、女性を性的対象とする固定観念を強化するといった意見が出ています。
広義の「対象化」とは他者をその個性や尊厳を無視して消費財や手段として扱うことである。対象化の概念は、主に社会のレベルにおいて吟味されるが、個々人の行動について問題にすることもできる。
とりわけ女性の性的対象化は、フェミニズムおよびフェミニズムの影響下にある心理学説の根本的な概念となっている。多くのフェミニストは性的対象化は許容すべきでないと考えており、男女不平等の大きな原因であると考えている。一方、社会評論家にはこれを女性自身による権力の表現であると指摘する向きもある。
性的対象化より引用
男性向けのアダルトビデオは女性を性欲解消の道具として表現されたものが多く、モノ扱いしていて女性の気持ちを正しく表現できていないとする意見もあります。こうした表現物が多くの男性の性行為における女性への乱暴な行いに繋がっているのではないかという意見です。
参考文献 「女性向けポルノ」に見る男性の「独りよがり」 男性の自己満足が「セックスレス大国・日本」を生む? 瀬地山 角
7.性犯罪誘発防止
性犯罪誘発防止では、2つの論点があります。
- ポルノへの強制出演問題
- ポルノを見たことで性犯罪を誘発する問題
強制出演問題は「商業主義の否定」にも通じる問題です。 NHKなどが取り上げたことでAVへの強制出演問題は誰もが知るところになりました。
2つめの論点については、例えば「レイプ」を題材にした無修正ポルノがあったとして(すでに大量のモザイク入りAVは存在しますが・・・笑)それを見た人が同じ様に「レイプ」に及んでしまう事を防ぐということです。
無修正を「わいせつ」として違法とすることの問題点
保護法益とされている事を全て否定していってみましょう。なぜこのような事をするのかと言うと、ある法律が存在する理由たる法益が全て否定されればその法律は存在してはならないからです。
1.わいせつ物頒布等の罪が守ってくれていないもの
- 性的羞恥心の保護
- 性風俗の清潔
- 性犯罪誘発
- 青少年の保護
「モザイク」の有無がこれらの事から私達を守ってくれているとは到底思えないため、無修正であるかどうかはもはや問題では無い事は明らかですが、アダルトビデオの存在自体がこれらにどう影響しているかという視点で議論をしてみましょう。
「見たくない人」に見せないという意味では、青少年保護育成条例で成果をあげているゾーニング規制が最も適切なものでしょう。青少年の保護にも効果的ですしもっと積極的に推し進めても良いのではないかと私は考えています。
今はインターネットを通してエロに触れることができますし、購入することも消費することもスマホやPCで完結することができます。テレビのように誰もが目にするメディアからエロは駆逐し(見たくない権利を保障)見たい人だけが見るメディアにのみエロを解禁するのが適切でしょう。
しかしながら、社会的法益の視点で考えることも重要です。「見たい人」にも見せない事に意味はあるでしょうか?
例えば、動物虐待をしたい人が動物虐待をするという社会は決して望ましいとは思えませんが、同じ様にアダルトビデオを見たい人が見れる社会は望ましくないのでしょうか?
もし、エロが社会に悪影響を与えるばかりで良い影響を与えていないのであれば規制すべきかもしれません。動物虐待が公然と行われる社会では「弱い者いじめ」、「弱者差別」や「幼児虐待」を助長するにもかかわらず、動物虐待をする事で得られるメリットは普通の人であれば無いと言って良いでしょう。
こうした視点が性風俗の清潔と性犯罪誘発防止という効果を「わいせつ物頒布等の罪」が持っているかを考える上で必要になり、
一つの重要な論点である「エロメディアが社会に与える影響」が浮かんできます。
メディアによって人々の行動や意識にどれほど影響があるのかという議論には メディア効果論があります。メディアは人々の行動に強く影響するとする「強力効果論」はすでに2001年に否定さていて、現在はメディアの影響は限定的であるとする「限定効果論」が主流であり支持されています。
一方で犯罪行為についての影響は、代理的行為(カタルシス)によって犯罪性が低下するとする「自己浄化説」と攻撃性や暴力性が高められるとする「犯罪性促進説」の2つがあり、どちらも科学的に証明されていないのが現状です。
アダルトビデオを規制してもあなたを性犯罪から守ってくれはしないと言えるのです。
したがって、アダルトビデオを見たい人が見て満たされない性的嗜好を満たし健康な生活を送ることができる社会を実現するメリットと比較しデメリットは十分に小さく、そもそも「性的羞恥心を守る」「性風俗の清潔」「性犯罪誘発防止」のためにエロ表現を規制することは適切ではありません。
では、どうすればこうした社会課題への対策ができるのでしょうか?
私が持つ答えは「寛容な社会の実現」ですが、本稿とはすこし話題がずれてしまうため別途記事化させていただきたいと思います。
2.そもそも保護するべきでないもの
- 一夫一妻制
- 性の商品化
一夫一妻制は維持されるべきなのでしょうか。
同様な疑問に同性の婚姻は認められないのか、というものがあり、まさに2019年現在参議院選挙で各党が出したマニフェストでは意見が分かれるものです。性的な多様性を突き詰めていくと結婚の多様性という問題が出てきます。医学の進歩によって性病がある程度コントロールされるようになった現在、もともとは乱婚的だったヒトはもはや一夫一妻にこだわる必要性はないのではないかと私は考えています。最も多くの人々は一夫一妻が良いと考えるでしょう。
問題は憲法や法によって強制されるほどの絶対的な人間の本質が一夫一妻であるのかどうかということです。
なお、エロは一夫一妻制を保護する方向に働きます。なぜなら、パートナーでは満たしきれない性欲をエロによって解消することができるからです。一夫一妻制を「わいせつ物頒布等の罪」が破壊しているとも言えるのです。
同様のロジックで「性の商品化」問題は語ることができるでしょう。私も男性向け性風俗で働く女性を多く見てきました。中には「自ら」「進んで」「性風俗で働き」それに「生きがい」を感じている女性も居るのです。
むしろ「性風俗差別」はかなりひどいもので、「風俗落ち」という言葉に代表されるように彼ら彼女らに対する世間の目は非常に冷たいものがあります。そして、女性向け性風俗利用者が意外と居ることも知りました。決してそうした女性たちはあなたが想像するような「おばさん」だったりしない、普通の若い女性だったりするのです。あなたの中に眠る差別をむしろ助長するのが「エロ表現規制」だということがわかるのではないでしょうか。
参考文献 性風俗従事者 女性だけが職業差別を受けるのはなぜか NEWSポストセブン
エロ表現規制によって「性の商品化」を規制することは適切ではありませんが、その他論点(自由意志だったとしても社会構造によって強制されている等)は残されています。この事はAV強制出演問題や過去に出演した作品の配信差し止めなど、表現規制とは別の手段で解決されるべきものでしょう。
3.規制することで悪化してしまうもの
- 性差別
ということで、性差別は規制によって助長され悪化してしまいます。
人はそれぞれ多様な性への考え方を持っており、それが正常なのか異常なのかにかかわらずその考え方は尊重されるべきです。性的羞恥心、すなわち他人に見られると恥ずかしいと感じる人も居れば、そう感じない人も居ます。個人それぞれに考え方が異なることは「 ポリアモリー」といった考え方が出てきていることから自明です。
「表現の自由」とはこうした多様な価値観を守るために作られているのですから、規制をすれば多様な価値観が失われる、すなわちどこかで「差別的」感情を醸成してしまう結果になるのは仕方がありません。
問題は、どこまで許されてどこまで許されないのか、それを社会が自らの意志で決めていくことなのです。
その社会の意志を否定する法規制はあってはなりません。
「自主規制」とはそうした社会による合意形成を、硬直化してしまう法律という枠組みから開放するために存在します。現にテレビでは性表現は規制されていますし、AVでも「女子高生」とタイトルにつけることは許されないなど、自主規制は効果を発揮しているのです。
参考文献 「わいせつ表現」規制と女性差別克服は関係ない? 憲法学者・志田陽子氏インタビュー | WEZZY
このように「表現の自由」を守るべきという意見は多くの人にとって意外な事に、フェミニストとされる人たちの中から出てきています。
参考文献で例示されているのは男性同士のセックスの場面で顔にモザイクがかかるシーンです。
モザイクが有るということは、それは汚らわしい物であり、不潔で見てはいけないものだと示しているようなものです。しかし、男性器や女性器、男性同士や女性同士、男女での性行為にそのようなレッテルを貼ることは適切なことではありません。あるべき状態とは青少年を保護するためのゾーニングと、後述する性感情を保護するための規制です。
参考文献 性表現の規制をフェミニストは求めていない 堀あきこさんインタビュー | WEZZY
4.それでも性感情は保護すべきか?
最後に残った社会課題として「性感情の保護」があります。
「レイプ」を題材にとって解説しましたが、自分の身にそれが起こったら・・・そういう危険が現実に存在する状況でそうした表現物を見せられるとしたら・・・という存在すること自体への嫌悪感は無視できないものです。
18禁ゲームである レイプレイが問題とされたように、こうした表現を規制することは理にかなっています。
しかし、表現規制と差別がトレードオフの関係にあるように、規制には慎重には慎重を期さなければなりません。
ここでも、性差別問題と同様に「自主規制」という解決策を提示することができます。個別の問題に対して社会と対話しながら事業者たちが規制のあり方を決定していき、その責任を自らが負うという形が最も適しているのではないでしょうか?
犯罪手法をむやみやたらと広めてしまうような「暴力的ポルノ」は社会的に認められてはいけないものでしょう。そうした「本来あるべき規制」を広めるべきなのではないでしょうか。
刑法175条「わいせつ物頒布等の罪」廃止運動
以上より、私は「刑法175条 わいせつ物頒布等の罪」が廃止されるべきだと考えます。
同様に、私は「刑法174条 公然わいせつ罪」を無修正配信だからといって適用するのは問題であり「見たくない権利」のみを保護する内容に修正すべきだと考えています。
では、私と同じような意見を持つ人達による廃止運動は行われているのでしょうか?
例えばchange.orgには「刑法175条の廃絶を求めます!」と題した署名運動が行われ3,000名以上が署名しています。
また、 11PMにTV出演したこともあるフリーライターの松沢呉一氏も廃止論者となっています。
政治の世界にも特に刑法175条の修正または撤廃を主張する人が居ます。特に 山田太郎氏(2021年現在参議院議員)は表現規制反対派として有名ですよね。
参考文献 エロ動画を配信しただけで顔や名前まで報じる必要がどこにある—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[1]-(松沢呉一) タグマ!(一部有料コンテンツあり)
彼らの主張は、ポルノ規制には性秩序・性道徳の維持に効果がないこと、性秩序・性道徳を法律で強制的に規制する事に問題があること、性差別を助長することなどなど色々な意見があり、必ずしも私と同じ意見ではない事には留意していただきたいと思います。
FC2配信者逮捕問題に立ち戻って彼女はなぜ罪に問われなければならなかったのかを考える
再掲します。
見たい人が見せたい人の配信を見ていただけの今回の事件、一体どこに問題があったのでしょうか?
「公然わいせつ」とは言うものの、自ら見たいと思っていた人に見せていたのだからそれは公園で全裸になった元SMAPの草なぎ剛さんとは訳が違います。1人の一般人女性が逮捕されてしまうほどにまずい事をしたはずが、どうもその「まずい事」が一体なんなのか全く得体が知れないのです。
逮捕されれば非公表としていた氏名は公表され、勾留されて取り調べもされ、世間からは「無修正配信者」のレッテルをはられることになります。
それだけの事をやった警察にはそれだけの守りたいなにかがあったに違いないのです。
罪に問われるだけの「まずい事」をしていなかった
ここまで1万文字を超える文章を書いて、やっとこれが言えるのです。
彼女は何も氏名を公表されるような、人権を踏みにじられるような「まずい事」はしていませんでした。
それにもかかわらず、氏名は公表されYouTuberとしてのアカウントも公表され、人生はズタボロにされてしまいました。
これ、許されて良いのでしょうか?
私にはそうは思えません。
もっとも、本人がそう言ってないのだからどうでも良いと言われればそれまでですけどね。
治安維持目的化しているのではないか
FC2の摘発に見て取れるように治安維持法化しているのではないでしょうか。
治安維持というのは「権力が気に入らない思想信条を持った組織を潰す」ということです。民主主義に対する挑戦とも言えるこうした権力の発露にはもっと批判的にならなければなりません。歴史を見れば明らかに 治安維持法はとても危険なものなんです。
見てきたように、価値観が多様化した現代社会において「性道徳」などと言うものを保護する利益は全く無いにもかかわらず、害は枚挙にいとまがありません。
決してわいせつ物を作成する事にみんなが参加するべきという意味ではない
AV女優や風俗嬢になったことで後悔する可能性はおそらく高いと思いますし、逆にやって良かったと感じる女性が居ることも事実です。
そこに他人から強制される「なにか」が必要だとは思えません。
普通の成人女性が自分の意志であらゆるメリット・デメリットを比較検討した結果、AV女優や風俗嬢になるという決断をしたとしてそれを非難する事を私はできないでしょう。
逆に、デメリットが大きいと感じそうした仕事には絶対就かないと考えている女性の決断もまた非難する事を私はできません。
忘れてはならない・・・違法なものは違法である、遵法精神
そう、それでも無修正は違法なんです。
絶対に無修正動画をアップロードしてはいけないし、無修正配信なんてしてはいけません。
実際に本記事公開後も幾度となく逮捕者を出している無修正問題。
警視庁によりますと島田容疑者らは、ツイッターやマッチングアプリなどで出演者を募ってわいせつな行為をさせたうえ、撮影や編集をしていました。2年5か月間で、4000以上の動画をインターネット上に投稿し、少なくとも6億6000万円を売り上げていたとみられていて、島田容疑者は容疑を認めているということです。
無修正わいせつ動画販売 6億円以上売り上げの男ら3人逮捕 | TBS NEWS (2021年3月5日)
アダルト動画サイト「カリビアンコム」で、無修正のわいせつ動画を配信したとして、サイトを運営するグループの社員で、アメリカ国籍の男性が3月上旬、わいせつ電磁的記録等送信配布の疑いで逮捕された。
報道によると、男性は昨年8月、無修正のわいせつ動画をカリビアンコムで配信した疑いが持たれている。日本で撮影された動画データを、配信前に圧縮する作業などをしていたという。アメリカから旅行で沖縄県を訪れたところを逮捕された。
無修正「カリビアンコム」運営、米国籍男性の逮捕…なぜ困難な摘発が実現できた?(2017年3月12日) | 弁護士ドットコムニュース
いずれも警視庁保安課によって行われた捜査。やって損をするのはあなたです。違法なものは違法なんだから・・・。
わいせつについて考えてきて
かなりの時間をかけて本稿は執筆しました。2週間、実時間にするとおそらく50時間ほどです。それだけに私の中に「怒り」が大きかったのです。それはきっとこれまで過ごしてきた環境での理不尽、とりわけ「権威的」なものへの「怒り」と同質なものでした。
「黙って従えばそれでいいんだろう」
そう、その方がうまくいきます、それは間違いないことですが同時に完璧なものは何も無いということも強く思い知らされました。みんなが当たり前に感じていることでさえも、こんなに脆いものなんだと知ることもできました。あえてアダルトビデオ全般の問題点や性差別にも範囲を広げて様々な勉強をしました。
当サイトには露骨な性表現も、性差別も含まれています。それでも私は性差別に断固として反対します。そう言えるようになっただけ、成長したのかもしません。今後記事を書く時の表現は変わっていくでしょう。勉強すればするほど、学べば学ぶほど他者に寛容になっていく。一部本文でも触れましたが、「他者に寛容な社会」の実現を目指すべきだと思っています。
なんとも、このサイトらしくない正義ぶった感じになってしまいました。あなたも無修正問題を通して学んで見て欲しいと思います。それに必要なだけの文献は多く取り上げるようにしたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
その後とその他の視点2022年追記
さて、あれから約3年が経過し、無修正問題はどうなったのでしょうか?
無修正配信を行って稼ぐ男性が続々と逮捕、出演する女性を逮捕しなければOK?
2022年4月11日に発表された、FC2コンテンツマーケットで無修正配信した映像制作会社社長ら2人の逮捕事件。
元々アダルトビデオメーカーであった彼らは、インディーズメーカーになった後にFC2コンテンツマーケットでの無修正販売に手を染めた格好です。
自ら出演…無修正わいせつ動画をネット公開か 制作会社社長ら2人逮捕 | テレ朝 news(リンク切れのため削除)
もはや個人や零細事業者を狙い撃ちで逮捕するための規制と化した無修正規制。
こうしたことがやりたいなら、性行為を含む映像の作成に限って届出制(販売・配信は映像送信型性風俗特殊営業という形で既に届出制)にするのが本筋ではないでしょうか。
そうすれば強要問題を起こす様な悪質な事業者を排除することができます。というか、そうした方向性の規制をやらない理由が私には理解できません。
「無修正OK+作成・販売・配信の届出制」というのは理にかなっていると思うのですが、あなたはどう考えるでしょうか。
Steamやファンサイト等で無修正作品が販売され続け、国内で合法的に購入し遊ぶことが可能
世界1位のゲームプラットフォームSteam(スチーム)では海外の無修正ゲームが大量に販売(成人指定カテゴリー、要ログイン)されており、国内在住の方でも合法的に購入して遊ぶことができます。
元々アメリカ発祥で、国内ではfantia(ファンティア)やpixivFANBOX(ピクシブファンボックス)が人気のファンサイト(fan funding site)。
ファンサイトはYouTube向けのPatreon(パトレオン)が有名ですが、アダルトではもっぱらイギリスのOnlyFans(オンリーファンズ)が人気。しかしながらアダルトコンテンツを2021年に規制するという発表が成されました。その原因は銀行等の決済関連の取引先からの圧力とのことで、反社会勢力へ資金が流れることを防止するためと考えるのが自然でしょう。
OnlyFansはその後規制を撤回し一部の表現(尿やレイプなど)を除いてアダルトコンテツはすべてOKとなっています。
OnlyFansは世界市場においてアダルトビデオよりも大きな市場となっていると日本人ポルノスターであるまりかさん(YouTubeチャンネル)は述べています。
女優さんはポルノ出演よりもOnlyFansで稼ぐのだとか。AVはもう時代遅れなのかもしれませんし、日本のAV業界はかなり特殊な状況に置かれているのかもしれません。
無修正問題とは全く文脈の異なる問題ではあるものの、本筋の議論としてはこうした「内容」についての議論があって然るべきであり、ただもっぱら写ったか写らなかったかだけで議論している日本の無修正規制の稚拙さを感じてしまうのは私だけでしょうか。
現在はOnlyFans(オンリーファンズ)以外にもアダルト専用のFunding Siteであるfancentro(ファンセントロ)では性行為を含む無修正作品が国内からでも合法的に購入・視聴可能となっています。
また、PornHubでは海外で作成した無修正動画で日本国内の広告収入を得て稼ぐことができます。
国内事業者、映像作品作成者はもとより映像作品出演者の犠牲にも目を向けるべき
現在海外事業者から無修正作品を合法的に購入し視聴することができる事を実例を交えて解説してきました。
一体これで損をしているのは誰なのでしょうか?
- 国内事業者(funding siteや動画配信サイト)だけがコンテンツが無修正か否か審査しなければならない
- 海外事業者だけが無修正を配信できて、国内からの広告費を得ることができる
- 国内の映像作品作成者が海外からの収益を得られない、得づらい
- 映像作品出演者の出演料が安くなる、待遇が悪くなる
この中でも問題なのはインターネットならではの状況とも言える「国内からの広告費を海外の事業者が無修正動画配信で得ている」という状況です。
さらには「ゲームやアニメのメーカーが無修正作品で収益を得ることができない」という状況にもなっています。海外でも人気の3Dアダルトゲームメーカー「illusion」やカスタムオーダーメイドで有名な「KISS」などは最たる例でしょう。もっともゲームに関しては「無修正化パッチ」なるものでモザイクを外したりすることが可能な様ですが。
日本の法規制で自ら喜んでお金を海外流出させるという状況、なんともはや・・・こんな経済状況なのに無修正がどうのとこだわってて大丈夫かと思ってしまいます。
「無修正がOKなら審査しなければいいのか?」
「無修正動画に対して国内から広告を出すのは良いのか?」
こうした議論が出てくることでしょうが、それも全て無修正が足かせになって議論すらままならない・・・というのは言うまでもありません。
無修正規制、そろそろやめませんか?